市原市ではアレルギー科を標榜する医療機関が少なく、開業当初からアレルギー疾患に苦しむ患者さんが多数来院されています。その方々を拝見して最初に感じたことは、「充分な医療をお受けになっておられなかった…」ということでした。
他の疾患と同じ様にアレルギー疾患においても、全国的に標準化された治療があります。この治療法は、長年に渡って蓄積してきた知見に基づき作成されたものですから、これを基本として、時には若干の工夫を加えて治療を行うことが重要だと思います。工夫といっても特別のことではありません。お一人おひとりの生活スタイルを考慮して、アレルゲン(アレルギーを起こす物質)の除去や生活スタイルの変更、そして医薬品の使用方法などを提案します。
【治療対象のアレルギー疾患】
- 気管支喘息
- 花粉症
- アレルギー性鼻炎
- アレルギー性結膜炎 など
気管支喘息
気管支喘息は、空気の通り道(気道)に慢性的なアレルギー性炎症が生じることで、咳・痰、呼吸困難、喘鳴(「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」)などの呼吸器症状が出現する病態です。
これらの症状は、始めのうちはきれいに消失しますが、長年に渡って気道に炎症が生じていると、気道の壁に不可逆的(元に戻らない)な病変が起こってしまい、症状がすっきりとは消失しない状態に陥ってしまいます。ですから、気管支喘息の方に対しては、気道の慢性アレルギー性炎症を沈静化するような治療を行い、その後も炎症が落ち着いた状態を維持する治療を継続します。
これらの症状は、始めのうちはきれいに消失しますが、長年に渡って気道に炎症が生じていると、気道の壁に不可逆的(元に戻らない)な病変が起こってしまい、症状がすっきりとは消失しない状態に陥ってしまいます。ですから、気管支喘息の方に対しては、気道の慢性アレルギー性炎症を沈静化するような治療を行い、その後も炎症が落ち着いた状態を維持する治療を継続します。
鑑別診断
- 肺気腫
- 細気管支炎
- アトピー咳嗽
- 薬剤による二次性咳嗽(ACE 阻害剤など)
- 胃食道逆流による咳嗽
- 心不全
- 肺血栓塞栓症
- 喉頭や声帯の機能不全
- 腫瘍や異物による気道狭窄
- PIE 症候群 など
当院で実施する主な検査
- 呼吸機能検査
- 血液検査
- 胸部X線検査
治療
(1)アレルゲンの除去(環境整備)
-
環境対策、特に室内アレルゲンのダニを除去する対策が必要です。
- ① 建物の換気
- ② 紙パック集塵袋式電気掃除機による室内の掃除
- ③
寝具類の天日干しと紙パック集塵袋式電気掃除機による吸塵
1週間に1回は寝具類を1m²あたり20秒間かけ吸塵することにより
1m²あたり100匹以下に減らすことが出来ます。
(1m²あたり100匹以下にすると、喘息の発症を減らします。)
- また、飼育しているペットに関連して喘息発作が出現する場合は、その対策に関して助言を行います。
(2)禁煙
(3)薬物療法
-
① 長期管理薬(コントローラー)
- 吸入ステロイド薬
- ロイコトリエン受容体拮抗薬
- 長時間作用性β2刺激薬
- テオフィリン徐放製剤
- 長時間作用型抗コリン薬
- その他の抗アレルギー薬
-
② 発作治療薬(レリーバー)
- 短時間作用性β2刺激薬
- テオフィリン薬
③ 生物学的製剤 ※当院では導入していません。
- 抗IgE抗体
- 抗IL-5抗体
- 抗IL-5受容体抗体
- 抗IL-4/13受容体抗体
当院では導入していない治療法です。
減感作療法は、一般的には即時型アレルギーのアレルゲンを少量ずつ増やして注射し、過敏性を減らすというものです。100年ほど前から始まり、気管支喘息に効果のあることが認められています。
アレルゲンに対する高いIgE抗体を持ち過敏性を認める患者さんが治療の対象になります。
減感作療法は、一般的には即時型アレルギーのアレルゲンを少量ずつ増やして注射し、過敏性を減らすというものです。100年ほど前から始まり、気管支喘息に効果のあることが認められています。
アレルゲンに対する高いIgE抗体を持ち過敏性を認める患者さんが治療の対象になります。
花粉症
現在、日本人の約4人に1人が花粉症だと言われており、「国民病」の1つに挙げられる状況にあります。
発症の原因としては、食生活や住環境の変化によりアレルギー体質の人が増加していることや大気汚染など、さまざまな要因が挙げられています。また、戦後植林したスギの花粉量が多くなっていることも大きな要因であると考えられています。
この花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、鼻の症状(鼻のムズムズ感や痒み、くしゃみ、無色透明の鼻汁など)や目の症状(結膜の充血、痒み、眼脂など)が出現するものです。また、あまり知られていませんが、発熱や全身倦怠感、下痢、頭重感、呼吸困難感、気分の落ち込みなど多彩な症状を呈することもありますので、注意が必要です。
原因となる花粉は、本邦では約60種類が報告されており、代表的なものだけでも「スギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、シラカンバ」などが挙げられます。
発症の原因としては、食生活や住環境の変化によりアレルギー体質の人が増加していることや大気汚染など、さまざまな要因が挙げられています。また、戦後植林したスギの花粉量が多くなっていることも大きな要因であると考えられています。
この花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、鼻の症状(鼻のムズムズ感や痒み、くしゃみ、無色透明の鼻汁など)や目の症状(結膜の充血、痒み、眼脂など)が出現するものです。また、あまり知られていませんが、発熱や全身倦怠感、下痢、頭重感、呼吸困難感、気分の落ち込みなど多彩な症状を呈することもありますので、注意が必要です。
原因となる花粉は、本邦では約60種類が報告されており、代表的なものだけでも「スギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、シラカンバ」などが挙げられます。
当院で実施する主な検査
- 血液検査
- (鼻汁好酸球検査)
治療
(1)花粉暴露の回避
-
① 外出時の花粉対策
- めがね
- マスク
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② 帰宅時の注意
- 花粉を建物内に持ち込まない。
-
③ 洗濯物の乾燥
- 外干しを避ける。
- 外干しした場合は、洗濯物と一緒に花粉を持ち込まない。
- ④ 不要不急の外出の自粛
(2)薬物療法
花粉が飛散する2週間位前から薬物療法を開始すると効果的です。
-
① 内服
-
抗アレルギー剤
抗ヒスタミン薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬
ケミカルメディエーター遊離抑制薬
- ステロイド剤
-
抗アレルギー剤
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② 局所外用(点鼻薬、点眼薬)
-
抗アレルギー剤
抗ヒスタミン薬
ケミカルメディエーター遊離抑制薬
- ステロイド剤
- 血管収縮薬
③ 生物学的製剤 ※当院では導入していません。
-
抗アレルギー剤
- 抗IgE抗体
当院では導入していない治療法です。
スギ花粉による花粉症に対して、舌下免疫療法が一部の医療機関で開始されています。
(4)手術療法スギ花粉による花粉症に対して、舌下免疫療法が一部の医療機関で開始されています。
当院では実施していない治療法です。
手術療法は、主に鼻閉症状が強いアレルギー性鼻炎の患者さんに対して行われます。
鼻の粘膜を切除して面積を小さくする手術で、最近では、レーザー手術など入院をせず外来で行える方法が普及してきました。また、鼻汁を分泌する腺を刺激する神経を切って鼻汁を減らす手術もあります。
鼻閉だけでなく、くしゃみ、鼻汁の症状にも適応が広がりましたが、再発もみられます。